「公共」「歴史総合」「地理総合」の教科書=24日、東京都千代田区 文部科学省は30日、2022年度から主に高校1、2年生が使用する教科書の検定結果を公表した。
【図解】高校の新しい科目と検定に合格した教科書の点数
同年度から実施される新しい学習指導要領に基づく初の検定。社会に参画するための知識や態度を身に付ける「公共」や、日本と世界の近現代史を学ぶ「歴史総合」など、新たに必修となる科目が初めて検定を受けた。
現代の地理的諸課題を学ぶ「地理総合」や、プログラミングを含む「情報I」などの新科目も初検定となった。文科省によると、各学科共通の11教科で248点の教科書が合格し、歴史総合の1点は構成に重大な欠陥があるとして不合格となった。
新指導要領は「主体的?対話的で深い学び」(アクティブ?ラーニング)を重視しており、選挙権年齢の18歳への引き下げを受けて導入が決まった公共では、政治や経済、社会の課題について生徒同士の話し合いを促す内容が多く盛り込まれた。
公共と地理総合のすべての教科書で、北方領土と竹島(島根県)、尖閣諸島(沖縄県)を「固有の領土」と記述。尖閣諸島については「領土問題は存在しない」とも明記された。
近年の社会情勢を反映し、新型コロナウイルス感染症や東京五輪?パラリンピックなどを題材とした教科書があったほか、LGBTなど性的少数者に関する記述が充実した。男性の育児参加や選択的夫婦別姓などへの言及も見られた。
検定意見は9549件付き、1点当たりで5年前の前回検定から約1.5倍に増えた。
このほか、昨年の検定で不合格となり再申請した「新しい歴史教科書をつくる会」による自由社の中学歴史の教科書が合格した。